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かごしまふぁんネットメール
シリーズ「伝統的工芸品の全国大会がやってくる!」

◆第5回 「ボカシの妙 〜薩摩切子〜」

薩摩切子の「切子」とは,ガラスにカット文様を刻み込んだもののことをいいます。
そして,精巧なカット技術を施した薩摩切子の最大の特徴は,色彩のグラデーションといわれる「ボカシ」の美しさです。

「ボカシ」とは,透明なガラスの上に色ガラスを厚めに被せ,カットの角度を緩やかにすることによって現れる有色から無色へのグラデーションのこと。この手法により,江戸切子や海外のガラス工芸品とは趣の異なった,柔らかく温かい雰囲気を醸し出します。

薩摩切子は,鹿児島県指定の伝統的工芸品です。その誕生は古く,今から150年位前の江戸時代に薩摩藩主島津斉興により製造されはじめ,斉彬により大きな発展を遂げました。13代将軍家定に薩摩から嫁いだ「篤姫」の輿入れ道具の中にも美しい薩摩切子があり,今でも,徳川美術館に保管されています。

しかし,藩の財政難や薩英戦争での工場焼失などにより,わずか十数年で製造が中止されて,幻となってしまいました。復興されたのは,それから100年以上たった,今から20年位前の1985年。伝説の切子が現代によみがえり,私たちも100年以上前のセレブと同様,楽しめるようになったのです。

その人気を裏付けるものとして,薩摩切子は,2007年に民間調査会社が行った全国の特産品に対する消費者の購入意欲調査の非食品部門で3位に入っています。


ところで,薩摩切子に色ガラスを被せるとお話しましたが,色の種類は意外と多く,紅,金紅,藍,緑,紫,黄などがあります。どの色にもそれぞれの良さがありますが,なかでも,紅と金紅は,150年前には,薩摩藩でしか発色できず,「薩摩の紅ガラス」として珍重された色なのです。

薩摩切子は,光が当たると,光の屈折等で一段と美しさを増し,プリズムのような輝きに吸い込まれるようです。最近は,ドイツでも評価が高かった黒や二色ガラスを使ったグラデーションで色の変化が楽しめる製品も作られています。

今年の11月8日〜11日の4日間,鹿児島アリーナにて,全国の伝統的工芸品を一堂に揃う全国伝統的工芸品フェスタが開催されます。210品目の国指定の伝統的工芸品(本県では,本場大島紬,川辺仏壇,薩摩焼)とともに,県指定の伝統的工芸品も展示・販売されます。薩摩切子もありますので,是非会場に足を運んで,その美しい色と輝きをお確かめください!

 
岩手県 岩谷堂箪笥
【伝統的工芸品/岩手県 岩谷堂箪笥】
 

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