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かごしまふぁんネットメール
シリーズ「伝統的工芸品の全国大会がやってくる!」

◆第7回 「竹の温もり」

今回は,県指定伝統的工芸品のうち,竹を使った伝統的工芸品をご紹介します。
竹林面積日本一を誇る鹿児島県では,身近に豊富にあった竹を原材料とした伝統的工芸品が数多くあります。

まず,300年以上の歴史をもつ「薩摩弓」。
藩政時代から県内の竹を材料として作られており,現在も,溝辺や横川等の竹を使っています。職人自ら竹林に足を運び,自らの目で良質の竹を見極め竹を切るところから弓作りは始まります。そして,切り出してきた竹を幅をそろえて縦に割り,それを3ヶ月程度乾燥させ,火であぶって油抜きをし,また3週間ほど天日に干します。さらに,竹をより硬くするたに火入れをします。

下準備だけで相当な手間と日数を要しますが,その後も弓を完成させるまでに200以上もの工程を,熟練した技をもって,一つ一つを丁寧にこなしていきます。その中で,薩摩弓の良し悪しが100%決まるといわれているのが,「弓打ち」と呼ばれる工程。この段階で竹が直線から弧状へと変化します。まっすぐだった竹が,職人の手により,一瞬にして弧を描く様は,手品のように鮮やかで,実に見事です。

また,薩摩弓は,竹を何枚も積層している(現在で言う「集成材」の技術を昔から用いている)ため,強度を増し,反りや狂いが防止される特長があります。50年以上も薩摩弓を製作している職人さんですが,「今年になって,今までの作り方に間違いがあることに気づいた。これからは今まで以上にすばらしい弓を作るから期待していてほしい。」と話すほどの探求心の持ち主。湿気に強く,よく飛ぶと評判の薩摩弓,その弓から矢が放たれる瞬間は想像を絶する美しさです。

薩摩弓の他にも,竹で製作され,日常生活道具として使用されているものに,宮之城花器,竹製垣根,御座敷すだれ,そして,茶道具やかごなどの編組物(へんそもの)といわれる竹製品等があります。

竹そのものがもつ形状や特性を生かしたものが多いのが特徴。特に,「宮之城花器」は,しなやかで優美な孟宗竹を根がついたまま生かした勢いのある作品が多く,人気があります。

職人さんは,「竹林に入って竹を見て,根の形を想像しながら,何をどう作るかその場で決める。」といいます。また,竹の中に入れる銅板の筒は,竹の太さ等に合わせて一つ一つ手作りするなど,想像以上に手がかかります。竹の節,大きさなど同じ形のものは二つとないので,全く同じ作品は存在しません。
たくさんの作品の中から,自分の好きなものを選ぶのも一つの楽しみです。

その他,孟宗竹で竹組みを行う「竹製垣根」,竹の表皮を薄くむいた後,節をそろえて一定の厚さに剥ぎ,模様編みをする「御座敷すだれ」,竹ひご等を編んで製品とした「編組物」等,ノスタルジックで,魅力的な工芸品が並びます。これらの工芸品は,完成度は高いのに,手作業がゆえの素朴さがあり,また,竹の持つ温かさが感じられる作品ばかりです。

プラスチック製品等の手軽さに押されていた竹製品ですが,近年,プラスティック製品にはない竹製品の良さが見直され,注目されつつあります。竹独特の弾力感と涼感を生かした竹製品は,私たちに安らぎと温もりを与えてくれ,また,使い込むほど味わいと愛着が生まれます。自然素材なので,体に優しく,害がありません。おまけに,地球にもやさしいエコ商品。こんなに優れた特徴を持つ竹製品,生活に取り入れない手はありません。

今年の11月8日〜11日の4日間,鹿児島アリーナで,全国の伝統的工芸品が一堂に揃う全国伝統的工芸品フェスタが開催されます。210品目の国指定の伝統的工芸品(本県では,本場大島紬,川辺仏壇,薩摩焼)とともに,県指定の伝統的工芸品も展示・販売されます。今回紹介している作品もありますので,家族で出かけて,職人さんの技に触れ,竹の温もりを感じてみませんか。

 
岩手県 岩谷堂箪笥
【伝統的工芸品/岩手県 岩谷堂箪笥】
 

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